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人工関節というと何かロボット的で、大掛かりな大手術というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。確かに昔は、大学病院などの限られた大病院で行われていましたが、現在では日本中の整形外科の病院で行われている、ごく普通の手術になっています。人工関節は、関節の軟骨がすり減ったり、骨が変形したり、リウマチなどの病気で、関節に強い痛みがあり、そのままでは普段の生活に支障がある場合、痛んだ関節を人工でつくられた、金属やプラスチックの部品で置き換える手術です。2,30年前には、まだこの手術は珍しく、確かに難しくて熟練の医師しかできない特別なものでしたが、現在では人工関節の器械も改良され、物自体も長持ちする材質やデザインのものが開発され、関節に痛みをもつ患者さんに対して大変有効な手術になっています。現在日本では人工膝関節、人工股関節だけでも年間7〜8万件以上行われており、さらにアメリカやヨーロッパではその10倍以上の患者さんがこの手術を受けています。
また最近では、膝や股関節だけでなく、人工肩関節、人工肘関節、人工指関節なども、数多く行われるようになりました。
人工関節の利点は、痛んだ関節部分を取り替えることによって、痛みが取れ、スムーズな動きを再建できることです。多くの患者さんがこの手術を受けたあと、快適な日常生活を送っています。人工関節の欠点は、あくまでも人工のものなので、摩耗したり、壊れてしまうことがあり、その場合には、またもう一度、入れ替えをしなければなりません。また、長持ちさせるために、一部の行動が制限されます。


人工関節の手術は時代とともに進歩してきました。ここでは、私の専門の人工股関節と人工膝関節についてお話したいと思います。
ここ20年ぐらいの間に、人工関節の手術はかなり変わってきました。最近の傾向でいうとMIS(エム・アイ・エス)という、最小侵襲手術というのが多く行われてきています。これは簡単にいうと、手術の時の傷を小さくしたり、出血量を少なくしたり、筋肉などの関節周辺の組織をなるべく痛めないようにしたり、要するに、手術をすることで、患者さんに与えるダメージを少なくすることを目標とした手術です。しかし、このやり方には、いろいろな方法やいろいろな意見もあり、まだ確立された手術ではありません。傷が小さいことで、逆に手術が難しくなり、時間が余計にかかったり、人工関節が適切な位置に入らなかったり、早期(2週間程度)に退院させることで、トラブルが起きることもあります。私は基本的は約4週間の入院が必要だと考えています。手術後には、リハビリや体調の回復や、人工関節の早期の緩みなどの問題もありますので、これから、長く人工関節と付き合っていくためにも、適切な術後管理と患者さんへの指導が大切だと思っています。
またその状態で、早期に膝の曲げ伸ばし訓練を始めますので、術後の痛みは割りと強めなのです。ですから、そういうことを理解したうえで手術にのぞまれるのが良いと考えます。私はそういうこともあり、あまり早期退院は積極的に行っておりません。時間をかけてじっくり、リハビリをしていくことが重要と考えているからです。


人工膝関節は、人工股関節と違い、多くの病院で行われています。しかし、決してやさしい手術ではなく、やはり専門に行っている病院で手術を受けるられるのがいいと考えます。人工膝関節は、膝関節の上と下に、人工関節をかぶせるように挿入します。今まで軟骨がすり減って痛みが出ていた部分が、人工関節に変わるわけですから、その痛みはなくなりますが、どうしても手術による痛みは術直後、強く残ってしまいます。